【 9 】 雪城さくら




 冷たい氷が、腹の上を滑る。



 痛いくらいの刺激を受けて、サンジは甲高い悲鳴を上げた。

 「つめ、つめた・・・っっい」
 「先生・・・力抜かなきゃダメだろ?」
 「ひぃぁああんっ!!」



 ツツーッと、体温で溶けた水滴が、サンジの腹を伝って脇に流れる。
 その感覚すら、サンジには強烈すぎて。
 意識せず、腹筋がビクビク震えた。




 「だから、そんな締めつけんなっての」



 いや、無理だから!!!
 ついでに、声も抑えらんねぇから!!!



 ほんとに割れたらどうしよう。と思いながらも、
 どうしても力んでしまうソコを、緩める手段なんて知らない。




 「・・・だっ、たら・・もっ・・抜けっ・・!!」
 「いやだ」
 突っ込んだままの試験管に触れもせず、氷で施される愛撫に、サンジの背が弧を描く。
 斜めに傾いだ腹を、冷たい水が伝う。



 「ろろぉっこれ、やだぁあああっっ!!」



 ゾロに触られていないところも雫によってもたらされる快感に、サンジは涙を流した。



 
 「ん?どこが嫌なんだ?・・・ここか?」
 「んっん・・ふぅう―――っん」



 頭をぶんぶんと振って懇願するのに、ゾロはことさら優しい声と楽しそうな顔で、乳首の上で氷をぽたぽたと溶かす。
 ビンビンに尖った乳首が、痺れを伴って痙攣する。
 「やぁあああん!!や、死んじゃっ・・・」
 「死ななぇよ。これくらいで」



 ニヤリと意地の悪い笑顔で、胸や腹を舐め回される。
 冷たい氷と、熱い舌のギャップに、サンジはまた喘いだ。




 このっ・・・・・・サド!! ど変態!!  鬼っ!!あくまぁあああ!!!
 そんな嬉しそうなツラしてんじゃねぇ!!



 おめぇもやられてみろってんだ!!! すんげぇから!!!




 同じことをゾロにするつもりは毛頭ないが、そう思わずにいられなかった。
 何が『すんげぇ』んだと聞かれたら、それはそれで説明に困るのだが。




 「こういうのも、好きだろ? 試験管・・・触ってもねぇのに動いてるぜ?」

 「いやっ・・ゃああ、すきじゃ・・・な・・ぁっう・・」

 「うそつけ。だったら、なんでココ、こんなんなってんだ?」



 『ココ』、と、性器を弾かれ、脚を開かれて。
 真っ赤になって蜜を噴く陰茎と、その向こうに透明のガラス器具が見える。




 試験管は、もう根元の方まで入っていて、全く触られていないのにひくんひくんと緩く蠢いている。
 その光景だけで、サンジは息を詰めた。




 「あ、あ、うぁ・・やっ」
 「お、また動いた。」



 うぁっ!へそっ・・・舐めんな・・・!!



 臍に溜まった水を、じゅるっと音を立てて吸われて、身を捩る。



 思わず、勃ち上がった性器を、ゾロの顔に擦り付ける形になってしまった。



 「なんだ、コッチも触ってほしかったのか?」
 「だ・・・だれが・・っ」



 恨みがましい目を向けてもどこ吹く風。
 ゾロは、裏筋をべろーっと一舐めすると、すぐにそこから遠ざかった。



 「っは・・・あふ・・・ふ・・」



 クソぉ・・・触るんなら、ちゃんと触りやがれっっ!!




 中途半端に放り出されて、涙を流す陰茎を、サンジはどうにも出来ずに荒い息を吐く。



 「先生、 淫乱だからなぁ。これ触んなくてもイケるだろ?」
 「ふ・・なぁっっ!?」
 目を遣ると、ゾロはいつの間に持ってきたのか、また新しい氷を掴んで、舌でぺろりと舐めている。




 「さて、実験 始めるか」




 まて!! 誰が淫乱だ!! 断言すんな!! つーかちんこ触られねぇとイケるわけねぇだろ!?
 実験て何だなんの実験だなんのーーー!?




 叫んでやりたいことは多々あれど、



 ちゅぷんっと濡れた音がして、尻の孔から圧迫感がなくなったのに、サンジは目を点にする。



 「・・・やっと終わり・・か?」
 ほっとしてそう呟いたのに。



 「まさか、これからだろ。先生が手本を見せるんだよ。」
 ゾロは、尻の中から抜いたばかりの試験管を、サンジの胸にピタピタと当てた。
 「・・・手本って・・・」
 ほかほかと湯気でも立ててそうなガラスを前に、思わず聞いてしまったが・・・。
 まだなんかやる気か!?
 なんだかものすごーーーく嫌な予感がする。





 少しだけ溶けた氷を、尻の孔にあてがわれた。
 ぐっと力をこめて入ってきたそれに、サンジは自分の予感が当たっていることを知る。
 ・・・・・・出来ることなら外れていてほしかった。




 「ちょ!つめてぇって!!いてぇ!!」
 「ああ、どうせすぐ溶けんだろ。先生のここ、熱ぃから」
 「だから!!おれの体で何する気だよ!?」



 氷の冷たさに痺れる襞に、試験管を押し付けられて。
 「ん? 冷たいココに、熱くなった試験管を入れても、割らずにすむ実験」
 「―――――っっバカかぁあああああ!!!!」




 サンジは全身を真っ赤に染めた。













 ⇒10(刹那様へつづく)