【 15 】 雪城さくら




 ゾロの姿をカーテンで隠して、なんとかエースに「来なくていい」と言おうとするものの、
 後ろから敏感なところを触られては、サンジは声を噛み殺すのだけで精一杯だ。

 「ゾロっ・・やめろって!」
 「あぁ?そう言う割に感じてんじゃねぇか、すげぇ締まる」
 「・・・っく、ぅう・・」
 ぐじゅぐじゅと、音を立ててまさぐられるのにサンジは息を止めた。


 「先生、ほんとに大丈夫?体調悪いんじゃないんすか?」

 あぁ、エース、お前の気遣いは嬉しいよ。
 状況が こんなじゃなければな!!

 「だ・・・」
 大丈夫だ、と言おうとして、声を潜めた。

 ゾロが、立ち上がってサンジの尻に手を掛けたのだ。
 振り返ることは出来ないけど、きっとまたあの魔獣のような顔で笑ってるんだろう。


 コイツ・・・・・・まじで入れる気だ!!
 冗談じゃねぇ!!見られてたまるかそんな姿!!


  ゾロ以外のやつに!!!



 そう思った瞬間、サンジの中で何かが弾けた。
 ありていに言えば、『ぶちぎれた』。



 サンジは、見えない背後のゾロに向かって、静かに満面の笑みを作った。


 「ゾロ・・・・・・それ以上やったら、卒業まで口きかねぇから」


 いつもみたいにわめき散らすでもない、本気で本気の低い声に、ゾロは一瞬詰まり、
 大人しくサンジの体から手を引いた。


 下でも、サンジの笑顔を見たエースが、なんだか引き攣ったように顔を強張らせているが、そんなの知ったことじゃない。

 「エース! 生徒は下校の時間だぜ? おれもこれからテストの採点しなくちゃなんねぇし。悪ぃな」

 ほんとに大丈夫だから。とにこやかに笑って言うと、エースはなんだか憑りつかれたように、恐ろしいものでも見たかのように呆然と、こくこく頷いて、正門のほうへ駆けていった。

 サンジはそれを見送ると、窓を閉め、カーテンをぴっちり引いてから、

 ゆっくりとゾロに向き直った。


 「ゾ〜〜ロ〜〜?」

 「う・・・わ、わりぃ・・・」
 地を這うような声で名前を呼ぶと、ゾロは所在無さげに俯いた。

 「ほんとに悪いと思ってるか?」
 「あぁ、マジで悪かった。頭に血が上っちまって・・・」
 項垂れるゾロを見て、やっと溜飲を下げる。

 「こんなところ見られたら、おれもお前もただじゃすまないんだからな。きちんと考えて行動しろよ」
 「・・・・・・分かった」
 「もう二度と、人に見つかるような危ない悪戯はしないって、約束しろ」
 「二度としねぇ。約束する」

 こえ〜!まじこえー!! とゾロがビビッていることなど知らないサンジだが、
 ゾロがちゃんと反省したのが分かったし、なにより、約束は必ず守る男だ。
 安心して、ぽんぽんと、その緑の芝生頭を撫でた。

 「おぉー、お前の髪、案外やらけぇのなー」
 先程までとうってかわって、無邪気な笑顔を見せるサンジに、ゾロはほっとした様子で、好きなようにさせていた。


 「お、なぁ・・・ちょっと目ェ瞑れ」
 やけに大人しいゾロに気をよくしたサンジは、頭に手を置いたまま、ゾロに命令する。
 ゾロは憮然とした顔をしながらも、素直に目を閉じた。


  ちゅ

 とゾロの唇に自分のそれを押し付けた。

 「我慢できたから、ご褒美」

 ニッと笑って、唇を離すと、

 真っ赤になって目を丸くするゾロ。

 その顔を見た瞬間、サンジの背筋がゾクゾクーーーっと痺れた。

 (かっ・・・・・カワイイじゃねぇか・・・・・・・)

 だいぶん目が悪くなったか、ゾロに感化されまくったかのどっちかだろう。

 気の毒なサンジ先生は、やっぱり再び魔獣マリモに押し倒されることになったのだった。









 いきなりきつく抱き締められて、激しく口付けられる。
 唇に噛みつかれ、舌を吸われ、
 上あごを舐められ、歯列をなぞられて

 「むーーーー!!!んんんーーーーっっっ!!」
 サンジは息苦しさにゾロの背中をドンドン叩いた。

 やっと開放されたときには、サンジの息はすっかり上がってしまっていて。
 ついでに、萎えたはずの性器まで、なぜかしっかり兆していたが。

 「・・・っは、はぁっ・・・おめ・・無茶すんな・・よなっ」

 「悪ぃな。」

 肩で息をするサンジに、ゾロはもうちっとも『悪い』と思ってなさそうなニヤケたツラで囁いた。

 (さっきのゾロの驚いた顔、けっこう可愛かったのに・・・・・・)

 そう思って視線を下げると、そこには、上を向いてそそり立つ、ゾロの雄。

 ・・・グロい・・・グロすぎる。
 なんだその浮き出てるの!!血管か!?そんなぶっといもんが、入ってたまるかーー!!!

 ってか、実際入ってたんだよな、さっきまで・・・。


 なぜか自然に湧いてくる唾を、サンジはごくんと飲み込んだ。



 ・・・やり方は分かる、エロ本で見たから。
 ・・・気持ちいいとこも分かる。同じ男だから。


 おれに、出来るかどうかはわかんねぇけど・・・・・・。

 「先生・・・?」

 俯いて、思いつめたサンジの様子に、ゾロが怪訝な声を出す。

 「・・・・・・・先生じゃなくて、サンジ、だろ?」

 ニヤリと笑って顔を上げたサンジは、ゾロの前に跪き、

 「・・・サンジ、なにしてんだ・・・」

 そのクソでかい男根を、両手で掴んで言った。

 「ん?我慢できたから、ご褒美?」


 驚くゾロの顔を、満面の笑みで見つめながら。










 
⇒16 (刹那様へつづく)




 
本気で怒ったサンジさんは、きっと笑うか表情がなくなると思います。
 3Pなくてごめん(謝った;)