桜の花びら舞う春の午後。

 眩しそうに見上げる少年が。

 振り返り、微笑みかける。


 幸せだったあの日々は。

 もう 戻らない。




   
其の六






 あの日も、不遜な態度とは裏腹に、触れてくる手は優しかった。


 強引に開かせたくせに、本気で嫌がることなどしなかった。





 胸の先についた桃色の突起を緩く転がされながら、サンジは快感に流されそうになりつつも、

 じっと ゾロの顔を見つめる。



 七日前、この場所で、同じように組み伏せられたときは、

 獣のようだ、と思ったその顔。

 表情、 熱、 触れ方、 匂い、 声、 全てが。

 野生の匂いはそのままに、今宵のゾロは、壮絶な色気を纏っている。

 色気 というより、肉欲に 彩られた 獣。


 引きずり込まれそうだ・・・。






 やはり、ゾロに触られるだけで、サンジの体は、脆くも箍が外れるらしい。

 くらくらして、普段はどうとも思わない部分を撫でられただけでだんだんと、息があがってくる。

 キュンとしこった胸の尖りだけでなく、ゆるやかに脇腹をなぞられ、徐々に降りていく唇。

 「・・・ッ・・ン・・」

 溢れそうになる声を 噛み殺した。



 肝心の部位を避け、浮き出た腰骨に噛み付かれ、キツく吸われる。

 かと思えば、優しい仕草で、緩く舐め上げられ

 膝裏を、硬い掌で擦られて、ブルっと震えるほど感じた。

 前回とは、比べ物にならないほど、甘く、丁寧で、優しい・・・

 時間をかけて、慈しむように。

 サンジの体のいい部分を 知り尽くしたかのような愛撫。

 施される愛撫に、慣れた己の体。




 何故、 などとはもう思うまい。

 この三年。
 失くした過去の記憶のことは、考えないようにして生きてきた。

 でなければ、
 何も思い出せず、自分が何者なのかも分からず、
 暗闇を手探りで歩くような感覚に。
 暗く立ちこめる陰に、引きずり込まれてしまえばもう、二度と戻れない。

 気が 狂いそうだった。

 やっとの思いでここでの生活に慣れたのに。
 今更、自ら崩れ落ちていく必要はないだろうと。




 「―――ィ―――ッ!」

 ふと思考が飛んだサンジの内腿を、ゾロに強く吸い上げられ、チリっとした痛みに顔をしかめた。
 みるみる紅い痕が浮かび上がる。

 目を合わすと、ジロリと睨みあげられた。 気を逸らすなと言うことか。


 ・・・まったく、なんて横暴な。

 思いながらも、ふ、とサンジの顔が緩む。

 横暴で、自分勝手で、何を考えているのかも分からないような

 胡散臭い坊主。

 なのにこんなにも、胸が ざわめく。

 この男に。



 「ん・・・なァ、も・・・触れ、よ・・」

 焦らされ、上を向いて蜜を垂らす陰茎を見せ付けるように、足を開いてみせた。

 大胆な行動とは逆に、見る間に赤く染まるサンジの表情に、

 ゾロはすぅっと目を細めて、そこへと顔を近づける。

 腰を支えられ、期待に震える。食らいつくように口内に含まれた性器に、舌を這わされた。

 「あ、あぁぁ んっ!あっ」

 くち・・口っ・・・あつ っ・・!

 初めて味わうぬるりとした感触と、舌の熱さが、気持ちよくて、素直に声を漏らす。

 裏筋をれろーと舐め上げられ、くびれの部分に舌を差し込まれ嬲られ。

 「ん・・・んぅン・・ふ。」

 小刻みに息を吐くが、ビクビクと体が震えるのを止められない。



 「すげェ。べとべとだな」

 とどまることなく溢れる透明な液体を見せ付けるように、亀頭に舌を突っ込まれ、チロチロと弾かれて

 「おま・・のっ、ぁあ、ん」

 淫猥な光景に、まともな言葉も発せず、サンジの腰が跳ねる。


 (ゾロの・・・舌が、 おれ・・・・おれ、の・・・っ)


 「だ ・・めぞろ・・っも・・はな・・っだめっぇ」

 「ア? 出そうか」

 なんっでこいつはこんな余裕かましてんだ!!
 おれだけこんな、どろどろにしといて!

 低く掠れた声で、囁かれ、性器に舌先の振動が伝わる。
 悔しくても、どうでも、もう何も考えられずサンジは、涙を溜めてコクコクと頷いた。

 「も、イク・・・イキた・・・・ぁ」

 強請るように腰を突き出すと、ニヤリと嗤うのが視界にうつる。
 ゾロの口内に飲み込まれ、緩く吸い上げられた瞬間・

 「うああ・ああっあ・・ぁ」

 体中の体液を、根こそぎ吸い上げられたようで
 嗚咽に似た嬌声をあげ、男の口に吐精していた。



 息つく間もなく体を持ち上げられ、座した体勢でくたりとゾロへと凭れかかる。

 「ふ ハ、っは・・あ・・、ふ・・・ッム!」

 呼吸をなんとか整えようとしたのに、腕を引かれ、
 おもむろに口付けられた。
 今日、初めての。七日ぶりの口付け。
 触れた舌は、ものすごく青臭くて。

 「ん!!!ンーーーーーむーーーーーむぅぅぅぅうぅ!!」

 その臭いが、なにか。
 思い至ったサンジは羞恥に目を見張ると、ゾロを引き剥がそうと、肩を掴んで目いっぱい力をこめた。

 なのに、ゾロの体はびくともせず。逆に背中を引き寄せられて、更に深い口付けを受け入れる羽目になる。


 項を、悪戯のように指先で擦られる。
 擽るような愛撫にすら、いとも敏感に反応してしまうのだ。

 「ふゎ・・う」

 くすぐったくて開いた唇に、
 ゾロの、舌が、入り込み、探るような動きで舐め回された。
 達したばかりの性器が、再び熱を帯び、更なる愛撫を求め快感に震える。

 ゾロの、体臭に混ざって、甘い、と思う舌の先まで痺れるような感覚。
 その口内で粘ついた体液が、端から垂れて糸を引くのすら気にならない。

 腿の上に、座らされてはいるが、大きく開かされた足がガクガクと震え、体を思うように支えられなくなっていく。


 「ゾロ・・・ゾロ・・っ」

 じわりと、涙が滲む。

 溺れそうな、崩れ落ちそうな感覚が怖くなって、深く唇を合わせながらサンジは、縋りつくようにゾロの襟元を握り締めた。


 腕をとられ、正面から覗き込むように、瞳を合わされる。


 「・・・・・・・ゾ、 ロ・・」


 静かに、燃えるような、紅い瞳で。


 「ん?・・・どうした?」



 ふいに、 甘く囁かれ、 どくん、 と心臓が大きく跳ねた。



 胸の尖りを舐められたときよりも、 性器を含まれたときよりも、

 ゾロの大きな物を体内に受け入れ貫かれたときよりも。なによりも、もっと激しい慟哭。

 奥深くに入り込んだ、熱いものの感触をまざまざと思い出し、
 サンジは、ぐっと息を止める。



 ――――― 酷い。 なんて酷い男。

 こんな、強姦、とも呼べるほどのことをしておいて。そんな顔で見つめてくるなんて反則だ。


 喉が、ひりつくように痛みを訴える。呼吸するのも忘れ、見入ってしまう。

 この七日間、この男のことを考えない日など、忘れた瞬間などなかった。
 荒々しい息づかいや、硬く熱い体の感触や、その重みを。
 体に残る男のすべてを、思わない日はなかった。


 追い出すことの出来ないこの想いを、なんと 名付ければいいのか。



 「ゾロも・・・・脱げ」

 男の袂を寛げ、盛り上がる肩を露にする。 眩暈がしそうだ。

 左胸から腹にかけて走る、袈裟懸けの、歪な縫い目をひとつひとつ確かめるように、指を沿わせた。

 「この傷・・・どうした・・?」

 「ああ。ただの古傷だ。」

 「・・そうか・・」


 尋ねた一瞬、口を歪めたのが、なぜか誇らしげにも見え。

 サンジは、そこだけ薄桃に色が変わった箇所に、ぺろりと舌をのばした。
 犬猫のような仕草に、ゾロは目を眇めて笑う。

 「お前、そこ好きだよな」

 からかうような科白にも、サンジは何の躊躇いも違和もなく頷いた。

 「ん・・っふ・・」

 ペロペロと舌を這わせるサンジの、後ろ髪を玩ぶようにして引かれると、

 ざわりとくすぐったさが快感にすげ変わり、

 熱に浮かれされた瞳で、ゾロを見上げる。

 耳の後ろに伸びた手を取り、分厚い、剣だこのできた掌に、頬をすり寄せた。



 ああ、この腕に、この男に、抱かれたんだ。

 抱き締められ、散々に乱され、その熱さを、全身に刻み込まれた。


 この数日、そんなことばかりを考えていた。
 ふとまだ、ゾロの大きさが、中に入っているような気さえして、立っているのがままならないほど。

 記憶に残っているのは、熱さと痛み。けれど、それだけではなかった。

 今も。

 思い出してしまえば、その部分が、きゅんとヒクつく。


 「ゾロ・・・」


 期待を込めて名を呼ぶ、その声すら、微かに掠れてしまっているのが自分でも分かる。



 はやく。 もっと。 触れてほしい・・・


 こんなとき、どうすればいいか、 体が知っている気がした。








 寄せた指で、唇を撫でられると、痺れるような震えが走る。

 ふゃ、と、口元が揺れた。

 もっと 気持ちよくなるには どうすればいい?


 ゾロに、目線を合わせ、その指に、舌を絡めた。
 先ほどから、サンジに任せるように、自分からは何もしてこない男の指を・・・

 見つめ合ったまま、指の股に舌を差し入れ、動かす。

 仄かに赤らんだゾロの表情に、ビクンと腰が揺れた。

 硬い、中指と薬指を二本纏めて、口に含む。唾液を絡ませ、ぢゅるぅと音を立てて吸い上げると、
 ニヤリと笑ったゾロに、口内を蹂躙された。

 「・・ぁふ。う・・ぅ、ン・・ンん」

 二本の指をバラバラに動かし、舌を挟まれ表面を擦られて。上顎を擽られる。

 「ッア・・!」

 じりじり、むず痒さが広がる。触られてるところだけでなく。

 腰の上のほうが、じりじり、疼く。そこに、なにか得体の知れない器官があるみたいに。



 ぐ、と裸の腰を引き寄せ押し付けられ。

 恐ろしいぐらいに屹立したゾロ自身が、擦れるように当たって、サンジは「ふああっ」と溜め息を漏らした。


 すげぇ、でか・・くなって・・・


 ゾロも、感じてるのか・・・

 そう思うと、堪らなく、ゾクゾクした。


 愉悦にブルと背を震わすと、ゾロの指を咥えたままの口からまた、はふ、と甘ったるい息を吐く。

 布越しに、押し当てるように、腰を揺らした。

 ごつごつした硬いのが、サンジの陰茎にぐりぐり擦れ、垂れる蜜が、着物を濡らす。


 この瞳が、もっと淫欲に染まるのが見たい。

 おれに、欲情するゾロが見たい。


 馬鹿げてる。回路が焼き切れたように、それしか考えられないなんて。


 れろ、と舐め上げる、ゾロの指に、軽く噛み付いた。

 「ゾロ・・・・ゆび、 後ろ・・・・」

 恥ずかしく強請るのに、もう抵抗もない。

 なのに


 「後ろって、どこだ?」

 反対の手で。サンジの腰から、背中を、つぅーとなで上げられ、
 意地悪く訊ねるゾロの声も、興奮に掠れている。


 「・・・て・・っめ・・」

 悔しい、酷い、ずるい・・・ 思ってみても、こんな状態で、我慢できるはずもなくて。
 真っ赤になったサンジは、ゾロの手を、ソコへと導いた。

 きゅ、と固く口を閉ざす、部分へと。

 「ここに入れて欲しいか?」

 唾液でねとねとに濡れそぼった指で、表面をこすられる。

 「ぃア・・・あぁ・・あ」

 サンジが、どこもかしこも、優しくくすぐられるのが 一番感じる、というのを知った上で、
 あやし焦らすような動きを見せるのだ、この男は。

 だがそれだけで、とろとろと、サンジの先からまた、透明な液が漏れ出す。


 「・・・で、どうしてほしい?」

 ヒクン、と僅かに口を開けた入り口に、指の先だけを、潜り込まされて、
 もどかしさに、勝手に腰が揺れる。


 ―――意地悪。

 されてるのは分かっていても。


 涙で滲む目を、開くと、ゾロを、精一杯の気力で睨み上げ、口元を歪めて見せる。
 駆け引きめいた言葉を吐く理性が、まだ残っていたことに感謝した。

 「おめ、は・・ッン・・、どう、したいよ・・?」

 自分の声も、甘く掠れている。
 目元を紅く染めた、男が、獲物をとらえた獣の様な顔をして嗤う。

 ずぶりと指を突き立てられ感じる、引き攣るような強烈な違和感と、震えるほどの快感。

 「あ・っぁぁ、ア!!」

 「まだキツい な。 だが・・熱い」

 ぐぶ、ぐちゅ、と濡れた音がするのが、部屋中に響き、サンジが羞恥に喉を反らすと、
 自然ゾロに押し付けるようになった乳首に、噛み付かれる。

 「ひ!・・ぃあぁぁ」

 焼けるような チリ、とした痛みが走る、それさえも、気持ちいい。

 「お前の」

 濡れた指を増やされ、内壁をぐりゅんと解されながら。
 耳に届く、一瞬言葉を飲み込んだ、ゾロの声。

 「・・ん・・っ・?」

 「・・中に突っ込んで、揺さぶって、どろどろに善がり啼くお前が見てェ。」

 「――――――ッッ・ッ―――!!!」

 厭らしい声と科白に、がんと脳が揺れた。

 気が付くと、奥まで咥えこんだ指を締め付け。バタバタバタ・・と、ゾロの腹から首にかけて、飛沫を飛び散らせ。
 声も上げずに達していた。






 懐を寛げたゾロに、跨ったまま、ぴとりと照準を合わせられ、抱えた腰を落とされた。

 「ま、だ・・ゾロ、待・っ!だめ・・っ」

 だめ、と言いながらも、サンジは、たやすくゾロの砲身を飲み込む。

 まだ荒い息を繰り返す、達したばかりの敏感な体が。強烈すぎる快感についていけない。

 あたまのおくが、にじむ。

 涙がぽろぽろと、とめどなく流れる。


 「いい具合に緩んでるぞ、お前の中」

 「あふ、あ、ああ、あっ、も、やぁ・・っ」

 重力に従い、 ず、ずぶ。と、徐々に埋め込まれていく屹立。

 奥まで届いた途端に揺すられ、またサンジの先から、びゅると白液が飛んだ。


 「いあぁぁぁ!」


 「・・・また、達ったか。」

 厭らしい声音で囁かれながら、繋がった部分を、引っ掻かれる。掠れた高い喘ぎが、喉の奥から漏れた。


 激しく動かれるでなく、
 小刻みに、揺さぶられながら、

 硬く尖った乳首を、舌で弾かれる。
 ゾロの舌の動きに合わせふるふる震えるそこを視界の端に捉え

 「それ、っゾロ・・ダ、メ・・ぁっ」

 「駄目でもねェだろ。ここ弄るたび、すげぇ締まるぞ」


 ひくついて、いやらしい。
 とんだ淫乱だな。


 「ちが・・っぅぁ」

 「違わねェ。」

 酷いことを言われてるような気もするのに、そんなんじゃないと思うのに。

 じん、と背筋に走る痺れた感覚。


 ほんとに、そうかもしれない。
 自分でどうにもできず、こんなに感じるのは。



 酷くて、甘い男。


 ただただ、サンジの快感だけを追う愛撫を施す男。

 額に浮かんだ玉の汗に、おれが気付かないとでも思っているのか。


 「ゾロ・・・っ、も、動け・・・」

 意識して、後腔を蠢かすと、ゾロが小さく呻いて息を詰めた。

 「―――ッの・・!」

 「ぐちゃぐちゃになるまで、揺さぶんだろ?」


 煽られるゾロを見るのが、

 こんなに嬉しいなんて。










 太く硬い肉棒が、内壁を擦りあげながら抜き差される。

 「ああ、あああっも・・・たすけ・・ぅあぁ」

 助けてくれ、と縋りつくのは、自分を蹂躙している男なのに。

 「ゾロぉ・・・っぞ、っあ、ああ、っあ」

 「っ、掴まってろ・・」

 汗でずるりと滑る、肩に伸ばした腕を、引き寄せられ首に回すように促す、一連の動作に。

 心臓を、ぎゅんと鷲掴みにされたような錯覚に陥る。



 思えば、最初からそうだった。


 こんなに、誰かに心を動かされることなんてなかったから。


 怖くて憎いからだと、許せないからだと、自分に言い聞かせていた。



 本当は、とっくの昔に 堕ちていたのかもしれない。


 この男に、初めて会った、あの桜の木の下で。


 あの日、ビビ姫の騒動で偶然 出会わなければ、こうなることもなかったのか。


 ―――否、きっと、出会いはあの時じゃなくても、惹かれていた。


 いつか、素直に言えるだろうか。

 荒い息で、宣言通りに揺さぶり、善がり啼かされるこの、酷い男に。




 「・ハ、あ、ア・・ゾ ロ、ゾロっ」

 サンジの呼吸に合わせ、ゾロが腰を揺する。
 それが、段々速くなり、
 打ちつけられる激しさに翻弄され、もう何も考えられなくなった。

 ただ体内の、ゾロの熱だけ。
 埋め尽くされる快感だけを。

 「あぁ、ん、ンッ、んあ、あ」

 「―――――」

 甘く熱い息で、耳元に、何事か吹き込まれ、

 奥の奥、届くぎりぎりの場所に、とてつもない熱さを感じて、

 泣き叫びながらサンジは、意識を手放した―――――




  **********          **********












 麗らかな春の日の午後。

 見事に花を咲かせる、桜並木の下。

 大樹に寄りかかり昼寝から目覚めた先に、

 まだ年若い少年が、桜の木を見上げている。

 日差しを受けて金色に輝く髪に、ふわりと、花びらが舞いおちた。


 目を眇めて見つめると、視線に気付いたのか、少年が振り返り、

 こぼれるような微笑をたたえる。

 駆け寄って来た彼を、抱きすくめると、嬉しそうに頬をすり寄せる。

 耳元で、愛を紡ぐと、気恥ずかしそうに微笑んで・・・・・・






 失くした過去は、取り戻せはしない。

 辛いことなど、いっそ失くしたままでいい。


 愛を注いだ少年は、

 三年の月日を経て見つけ出した。


 もう、二度と離すまいと胸に誓った。




 これから、未来を


 この手で作っていけばいいのだ。



 どれだけ時間がかかろうとも。





















 窓の外には雪が舞う。


 男は薄く微笑むと、幸せそうな顔をして眠る青年の

 金の髪の一房に


 恭しく口付けた







  
終幕

















  長らくのお付き合いありがとうございました。
  お読みいただいた全ての皆様に感謝を込めて

     雪城さくら拝






 もっと破戒僧と板前読みたい と言って下さる奇特な方がいらっしゃれば、また書きたいです(笑)