【 相反理論 】
何故、こんな奴のことが気になるんだろう。 以前からゾロは考えていた。
・・・どこがどう、というわけでもないのに。 今まで周りにいた奴らと、何が違うと言うのか。
黄色い頭と、青い瞳と。 アヒルみてぇな口と。 生意気そうな表情。
しかしそのどこをとっても、自分の好みからは外れている。
はずなのに。
何がそんなに気になる?
何故、この手で、その肌の感触を確かめたい、などと思うのか。
答えなど、分からないし、特に知る必要がない。
いいか、よく考えろ。 どうなると思う、こいつに手を出したりなんかしたら。
・・・・・・ありえねえ。 ありえねえだろ。
乙女や処女も真っ青、ってなぐらいに箱入りなコイツのことだ。 ただ髪に触れただけでも、セキ二ンをとれ、と詰め寄られそうだ。
冗談じゃねぇ。 ンなことにかまってられるほど、俺には時間があるわけじゃねえ。
何がよくてあんなワガママで女好きで自意識過剰な男に、 興味を抱いたというのか。
自分が全くもって分からない。
と思っていた 筈だったのだが。
「ゾロ・・・好きだ・・・」
気の強いこいつが、恥ずかしさをおして言っているであろう、その台詞に。
ゾロは、その男を抱きしめずにはいられない。
困ったものだ。まったく。
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無自覚にべた惚れ。(待て)