なにがあっても負けられない。
負けてるなんて一瞬たりとも考えたくない。
どんなに傷ついたとしても、こいつだけには。
そう思う相手が、いる。
「ふ・・っざけんな黙りやがれ腐れ●●●●野郎がーーーーー!!!」
「あぁっ!?おめぇこそきゃんきゃんうるせぇよ××××コック!!!」
その日も、コックと剣士の喧嘩は、とっても放送禁止な罵り合いから始まった。
しかしそれも、いつもと言えばいつものこと。
なにしろこの二人、顔を合わすとなぜか毎回、ケンカに発展する。
罵詈雑言を飛ばしあい、ヒートアップすると殴る蹴るの攻防戦。
互いに、気に入らないと思っているからなのか、何なのか。
けど、あれも一種のコミュニケーションだと思えば。
あとは船さえ壊してくれなければ。
ま、いっか。
・・・ぐらいの気持ちで、いつもクルー達は二人の諍いを止めたり、止めなかったり。
数少ない良識人、長鼻の狙撃手やトナカイ船医ですら、以前は毎回、咽び泣き震えながら必死で止めてたりしたのだが。
そのたびに自分たちも巻き込まれるとあって、今では知らん顔だ。
彼らの諍いを見かけた、クルー以外の人々は、半ば呆れるとともに、
『ケンカするほどなんとやら、かもね〜』
なんて、冗談半分で言い合っていた。
実際、冗談ではすまないのだけれど。
戦うコックさん、サンジの渾身の回し蹴りが、敢え無く空を斬る。
一瞬早く、ゾロが身を沈め、かわしたせいだ。
「てっめ、マリモのくせに避けてんじゃねぇぞ!」
「避けるわアホ!今おめェアタマ狙っただろ!?」
「狙ったがどうしたぁ!? ンなもんじゃクソ剣豪さまは死にゃしねぇだろ残念だがなぁ!」
「おお上等だァ本気でかかってこい吠え面掻かしてやるァ 童貞が!!」
「うぅぅぅるせええええ!!誰のせーだと思ってやがんだア゛ァン!?テメーこそ即殺で地獄に送ってやるよあの世で詫びやがれ!」
珍しく長閑なグランドラインの海の上。
新しい船、サウザンド・サニー号の甲板で。
「・・・・・・いい天気ねえ、ロビン」
「そうね、もうすぐ夏島だもの。風が気持ちいいわ。童貞なのね」
「なあ・・・あの兄ちゃんたちに、聞こえてるぞ、って言ってやるべきなんじゃねぇか?」
「フランキー。細かいことは気にすんな?」
悪いのは運かタイミングか、ちょうど近くに居合わせたナミ、ロビン、フランキー、チョッパー。
それぞれが、それぞれの思惑に沿った微妙な笑顔を浮かべて。
***************
今日のケンカの切欠が何だったか、なんてそんなこと、サンジはもう忘れてしまった。
だいたい、愛しのナミさん曰く、
『毎日毎日、くっだらないケンカの理由を、探してる』 らしいので。
やれ、ゾロが飯の時間に起きてこねえ。
隠しといた酒を勝手に見つけて飲み干した。
見張りの最中に爆睡こいてた。
・・・他人から見れば結局、なんだっていいようなことかもしれないが。
サンジにとっては、あいつにケンカ売られてる、としか思えない。
ゾロに、『一般的な良識』なんか求めているわけではないけど。・・・実際そんなもの、サンジだって持ち合わせちゃいないし。
ただ、考えてみれば、単純なことなのだ。
メシぐらい一緒に食おうぜ、だとか
一言いってくれれば、酌してやるのに、だとか
おれが夜食持ってったときぐらい、起きろよ、だとか。
・・・なんだか悔しくて、つい口や脚が出てしまうのだ。
ゾロが、少し先を読んで気を回せば、サンジだって、罵ったり蹴りを入れたりしなくて済むのにと。
(・・・まぁそれは、おれも一緒、か・・・)
そのことについては、罪悪感がないわけでもない。
おれも、もう少し、心を素直に言葉にできたら・・・
こんなことにはならなかったのかもなあ・・・
と、緑マリモの腹の下で思う。ため息すら吐きながら。
時すでに遅い。
「コック・・集中しろ、って言わなかったか?まだ随分余裕だなァ?」
「うあぁん・・っ!」
これは勝負だ、と自分に言い聞かせてなければ、今すぐにでも、身体が跡形も無く蕩けていきそうなのに。
そっちこそ、余裕綽々じゃねえか!な薄笑いで言いながら、
サンジの腹にねじ込んだペニスを、奥に一突きするゾロ。
潜り込んだ先端で、内壁の、腹側をゴルッと擦られ。ひどく、切羽詰った声をあげてしまった。
「いやぁ・・っ、ぞろ、そこだめっ・・イ・・っ!」
「達けよ、さっさと。今回も、俺の勝ちだろ?」
「ざ・け・・ん・・っア!も、うごく・・なぁああっ」
「無茶言うな」
ずるりと引き抜かれ、また深く押し込まれながら言われて。
いつもみたいに、ケンカ腰に罵ってやりたいのに、こういうときだけは、どうしても、力が入らなくて。
自分のあげる声が、やけに甘ったれて聞こえてしまう。
初めのころは、挿れられるだけで精一杯で、ウシロで快感を得るなんて程遠い、つかそんな日一生こない!と思っていたのに。
ガツガツと無遠慮に腰を突かれ、それなのに痛みすらもう感じない身体は、歯痒いほど素直にゾロの律動を悦ぶ。
サンジは鼻を詰まらせ、涙を流して喘ぎながら、ゾロにしがみついた。
止まることない動きを抑制したかったのか、ただ単に、抱きつきたかったのか。
頭で考えることを放棄して、引き寄せた男の、太く筋の浮いた首に、歯を立てる。力の加減もきかず。
「、ッ」
痛みを感じたのか、ゾロが小さく息を止めて。
サンジの尻を持ち直し割り開くと、いきなり、深く深く貫いた。
前立腺よりもっと奥まった、男根が届くギリギリのところをえぐるように突かれるのが、気持ちよくてたまらなくて。
「――――――ア!!!イあ、ああ、あ、」
ガクン!と頭を反らし、腹の中のゾロを締め上げながら達する。
否応なしに体液が放出される、冷えて熱い感覚に。
頭の中、真っ白になったみたいに、なんにも考えられなくて・・・
勝手にわいてくる涙を拭うこともできず、
のしかかるゾロにしがみついたまま荒く息を吐き、射精の余韻にひたっていた
―――のだが。
「残念、またおまえの負けだな」
「ぅやぁぁっゾ、ろぉっ!だめ・・っ」
ゾロに、イったばかりの、力の抜けきった体を揺さぶられて、サンジは掠れた悲鳴をあげた。
「俺はまだ達ってねぇだろ・・もうちょい、つきあえ。」
「ひぅ、あ・・っ!!ああぁぁぁ・・」
まだ達する気配さえない剛直で、ビクビクと痙攣し続ける後腔を、ゆっくりと犯される。
時間をかけて引き、抜けるギリギリのところでまた戻されると、そのたびに、中の肉襞が、絡みつくようにうねりを増す。
頭の芯まで一緒に引き抜かれてるような気さえして、サンジは長く掠れた喘ぎを上げ続ける。
―――絶対に、ゾロが射精するための律動じゃないことは、サンジにだって判った。
しかしそれが、敏感になりすぎているサンジの体を気遣ってのこと、なのか、
ただ単に、意地悪してるだけなのか。そこまでの判別は、まだ・・・いつも、つかないまま。
カリの部分を引っ掛けながら抜き差しを繰り返されて、
「ふぅ・・んっ、ン、んう・・あ、」
だらしなく緩んだ口の端から、唾液がつたい垂れ落ちるのを、ゾロに舐めとられる。
首筋から顎、そのまま耳へと舌を這わされて、
「吸い込まれそうだぜ、お前ん中」
「っぁぁあんっ」
吹きこむように、耳元で、いやらしい声音で囁かれ。サンジはブルっと肌を粟立たせた。
さっき放ったばかりの性器はもう、再び頭をもたげている。
セックスのときこんなふうに、いつもゾロのいいように操縦されてしまうのを、
どうにかする技量までは、まだ持ち合わせてはいないのだ。
ゾロの動きひとつ、視線だけ、触られるだけで。サンジの体は勝手に次にされることを期待して綻ぶ。
なにせ、長い時間をかけてサンジに快楽のすべてを教え込んだのは、この男なのだから。
翻弄されっぱなしだとしても、経験値の違いから、仕方のない話。
―――と思えないのが、サンジの厄介なところであるが。
サンジは、肩肘をつき身を起こすと、ゾロのほうへ体重をかけた。
自然、ゾロが後ろへ体をそらし、サンジが腿の上に乗る格好になる。
所謂、対面座位というやつだ。
あらゆる体位の名を実地でサンジに教えたのも、もちろんゾロである。・・・無駄すぎる知識を増やされた感はあれど。
「ゾロ・・おれにも、させろ」
声を出すのもやっとの、まだ力の入らない体を支えてもらいながら。
震えが残る指で、ゾロの顎から頬にかけてをなぞる。
『先にイったほうが負け』
もう決着がついた勝負だとしても、されっぱなしじゃ悔しいから・・・と思ってみても。
強気なのは口調だけ、なんてこと、きっとゾロも知っている。
ゾロの剛直を受け入れたまま、上体を傾け、サンジは浅黒く日焼けした肌に、唇を落とした。
首筋から、顎へかけて。薄く生えかけた無精ひげが、ざりっと擦れる痛みを残す。
ゾロは、サンジの意図を解しているのかいないのか、動きを止めて、されるがままじっとしていた。
やけに珍しく。
普段なら、こちらから触れようもんなら、面白がってちょっかいの一つも出してきそうなものなのに。
ってゆーか、間違いなく出してくるのに。
けっこう、これ、初めてかもしんない。
妙に興奮して、頬から耳へ舌を這わせると、ゾロが微かに表情を動かしたのが伝わる。
「・・きもちい?」
かぷっと薄い耳朶を食みながら聞けば。
「ああ」
と少し笑いを含んだ声が返る。
(なんか・・・ぜんぜん平気そーなとこがむかつく)
サンジだったらもうこの時点で体から力が抜けて、こらえ切れない声を漏らしているところなのに。
そんな余裕ぶっこかれると、負けず嫌いの血が騒ぐってもんだ。
片方の手で耳朶を擦り、反対側の耳に舌をぬるりと刺し入れる。
空いた手を肩口から下へ。胸の筋に沿っておろすと、指先に異色な突起の感触があった。
小さく尖ったそれを押すと、反射的にゾロの胸板がぴくりと震える。いや、揺れる、と言ったほうがいいか。
しかし反応があったのはそれだけで、ゾロはまだ平然と、サンジからの愛撫を楽しんでいるようにも見える。
(んー、まだまだ。)
指先でゾロの胸の突起を弄りながら、サンジは耳に刺し入れた舌を首筋に移し、太い血管の筋を辿り。
柔軟な体を折り曲げ、肩へ、胸へと降下していく。
サンジならそうされるといつも、勝手に体が跳ねてしまう、堪らなくくすぐったいようなむずむずした感覚が。
なんでこの男はこうも薄ら笑いでいられるんだ、不感症じゃねぇのか。
とか思いながら。
日焼けしたゾロの胸の、濃く色のついた先に吸いついてみた。こりっと感触を残す突起に、軽く歯を立ててみたり。
そうすると、口の中でゾロの皮膚が収縮するのが分かる。
舌の先に、固く尖った先端を感じて。反応を見せたことが嬉しくて吸い上げた。
すると、ゾロが「ク・・」と息を飲む気配がする。
(なんだ、ゾロもやっぱ、ココ弱いんだ?)
自分ほどではないにしろ、刺激を受けて乳首が勃ったり、吸うと体が跳ねたりするのは誰しもそうなんだ。
と、少し安心した。
爪立てられたり、ひっ掻かれたりしただけで、いつも、感じすぎてどうにもならなくなるサンジを、ゾロはからかうけど。
膨らんでやらしい、とか、乳首弄りながら突くと中がすげェうねるぜ、とか。
中に指入れられながらチンコくわえられて、乳首つままれて引っぱられたときなんか、気持ち良すぎて訳分かんなくなって、ほとんど叫ぶみたいにイッちゃったこともあったっけ。
思い出すと、またサンジの中がキュウと、挿入されたままのゾロの剛直を締めつける。
「んぁっ!」
急に体内で、ビクビクッと硬さを増したゾロ自身を感じて、サンジは男の胸に唇をつけたまま喘ぎを漏らした。
「どうした?もう終ぇか?」
その様子を見たゾロが至極楽しそうに言い、サンジの耳に口を近付ける。
さっきまで自分がしていたように、耳朶を柔らかく食みながら。
「んん・・・っ、だめ、できな・・」
徐々に首節へ下っていく舌の滑りに、思わず眉根を寄せる。
「いいから、続けろよ。達かせてェンだろ、俺を」
「やっ・・・っさわっ」
触られると、できない。
素直にそう認めるのも悔しいが。
クニ、クニと固くなった乳首をこねられると、ガクンと膝の力が抜けてしまうのに。
崩折れそうな上体を支えていた手を離されてしまっては、サンジの体は重力に従ってただズブズブと沈んでいき、中にあるゾロを、より深くまで銜えこんでしまう。
「ほら、どうしてほしい?」
鎖骨をカプリと甘く噛まれて、薄い皮膚に這わされた舌がだんだんと降りてくる。
行為は平気でも、言葉にするのは恥ずかしいし、素直に認めたくなんてないのに。
ゾロの唇はそれ以上進もうとしない。浮き出た骨を皮膚を隔てて舐めるだけ。
これから与えられる快感に慣れ切ったサンジに、我慢なんて、できるはずなかった。
「おねが・・・ちゃんと・・・なめ、て・・っ」
「どこを」
「・・・っぅ」
ずるい、聞き方をされたとしても。悔しくても。
ゾロの舌が焦らすように、乳輪の端に触れた時には、サンジはたまらず懇願していた。
「ちくび、なめてぇ・・っ」
「・・舐めるだけでいいんだな?」
「―――やあぁっ!」
恥ずかしいのを堪えて言ったのに。
ゾロは意地悪そうに嗤って、指で弄っていたサンジの、コリコリに尖った乳首を分厚い舌でべろりと舐めあげる。
やわらかくぬめったものが表面を撫でる感触にザワリと肌が粟立った。
「ひ、んっ・・ちが・・も・・」
「舐めろ、っつったのはお前だろ」
べろりと舌全体で舐め上げられて、ふいに歯が触れる。唾液で転がされる、むずがゆくもどかしい刺激。
戯れのように緩く吸いつかれるたびに、息が止まった。
「ナカ、すげぇヒクヒクしてんぞ。やらしいなァ」
弄られているだけで、挿入されたままのゾロの性器を後口が締め付けるのを、可笑しそうに揶揄されて。
「だめぇ・・・も、うごいて・・ぇ!」
「動くなっつったり動けっつったり、勝手な奴だな」
「・・・どっち、が!」
「なァ、気づいてっか?」
「・・な、に?っ」
「テメェが触ってたとこ」
ふいに意地悪く微笑まれたかと思うと、ゾロは跨ったままのサンジの腰を掴んで持ち上げる。
「ふわあっ・・!」
ずるず・・っと引き抜かれる感覚に、喉を震わせながら喘ぎを漏らした。
「まんま、自分がされて気持ちいいとこだろ?あんま可愛いことしてんじゃねえよ」
「んやぁあァ、あああっ」
ぐっと掴んだ腰を勢いつけて下ろされ、ありえないほど奥まで入り込むゾロ自身に、サンジは閉じた瞼の裏に火花を散らす。
「こら、気ィ飛ばすにはまだ早えぞ。動いてやるから、自分で乳首弄れ」
ニヤリと笑いながら意地の悪い言い方をされても。
硬くて太くて大きすぎるモノで、奥をごりごり小刻みに突かれながらでは
サンジにはもう抗う余裕なんて残っていない。
「うぅん・・っっ・・・あっ、んん・・っ」
言われたまま素直に両乳首を指で挟むと、キュっと摘みあげる。
途端に胸の先端から全身にジクジクとした疼きが走り、同時にゾロ自身をキツく締め上げてしまうのに。
剛直を刺したままのゾロがグっと喉を詰まらせて。
こり、と乳首をひねるように押しつぶせば、快感にサンジの背が跳ね、ゾロの顔色がどす黒く変化する。
「・・ックソ・・」
喉の奥で唸り、段々と余裕がなくなっていく男の荒い息づかいに、サンジは吐息だけで笑みをこぼした。
傍から見れば凶悪極まりない、ゾロのその顔が。
なにより一番、サンジの心を煽るのだ。
とか綻んでいたのも束の間。
ゾロがサンジの腰を取り、マットを敷いた床へ押し倒すと、激しく動きを再開した。
「あぁぁぁっぅあ、・・!」
すでにサンジの放出した精液とゾロの先走りで濡れきった後腔は、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てながら、ゾロの肉棒を旨そうに奥へと飲み込む。
ガンと揺さぶられるたびに、脳天まで駆けあがるような衝撃で、サンジは飛びそうになる意識を繋ぐのが精一杯だ。
「や、あ!っア、あ、あぅンんーーーっっ!」
(あ・・ああ・・っぞろ・・っ!)
ちゃんとした言葉にならない、喉の奥から勝手に漏れてくる声が。
恥ずかしくてたまらなくて、それをゾロにも聞かれてると思うと、耳をふさいでやりたい。のに。
「ハ・・っ」
後がゾロを絞めつけながら蠕動し、ゾロがそれに合わせて律動を繰り返す。
ゾロの短い呼吸に混じる低い声に、なんでか分からないけど驚くほど反応してしまうサンジは喘ぎを抑えることもできないまま。
「あ、あぁ、っぞ、・・も、だめ・・!い、くっ」
腹の下あたりがきゅううとしぼむような感覚のあと、ガクガクと痙攣しながら二度目の放出を果たした。
それと同時にゾロがサンジの体内へ精液を注ぐ。
腹の中に満たされる熱いゾロの感触に。
整わない息を吐きながら、サンジは幸せをかみしめていた――――――
サンジの上で荒く呼吸をするゾロが、じっと瞳を覗き込んでくる。
体重をかけないよう頬の横につかれた男の肘に顔をすりよせた。
「なァ・・・いい加減、認めろよ」
「いやだ・・」
低いけれど、どこか甘く、優しい声で認めろと言われ、しかしサンジは首を横に振り。
ゾロは、少し困ったように、言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
心まで溶けてしまうほどの、甘い睦言を
「好きだって言ってんだろ」
「やだ・・!」
「やだじゃねぇ、認めろ」
だけど、サンジは、認めるわけにはいかないのだ。
だって
「・・おれのほうが・・すきだもん・・!」
「ふざけんな俺のほうが好きに決まってんだろうが!」
サンジは、ゾロに負けるわけにはいかないのだから。
そしてまた、翌日も派手な喧嘩が待っている。
もうすぐ夏島。
気前よく気温が上がり、不快指数もそれに比例して上がる中。
「おれのほうが好きだ!」
「いーや俺だ!」
場所も時間もわきまえず、そんな言い合いを繰り返す男二人を遠目に見やり、
「毎日毎日飽きもせず・・・ほんっとあのバカども、どっか余所でやってくれないかしら・・・」
「まぁナミちゃんったら。いい見ものだと思ってるくせに」
呆れる、を通り越してあいたたた・・と頭を抱えるナミに、ロビンがクスッと微笑めば。
「負けず嫌いか?なぁアレ、負けず嫌いだからああなってんのか!?ファンキーな奴らだぜ・・」
「ほら、犬も食わないって言うだろ?ほっとくのが一番だよ」
にこっと可愛らしいトナカイに笑顔を向けられたフランキーは、ほおーと乾いた声で頷いた。
問題児をわんさか積んだ船は、今日も平和に海の上をひた走り。
あとはもういつも通り、のどかな午後が過ぎていく。
一マイルごとに被害を増しながら。
― 終 ―
**************
痴話ゲンカ上等(王道万歳)
え・・・王道だよね?(聞いた)
ゾロサンがなぜかまだ付き合ってなくてすいません(エ)
挿入したまま・・ってのをやらせてみたかっただけですいません
メリー号からのクルーさんたちが慣れ切ってるのが好きです。そんなゾロサンに。
おかげさまで夜城雪花二周年!ありがとうございました〜〜!