最近よく男子に話しかけられる

内容はさまざまだが大抵はどうでもいいことだった

「荷物運んであげる」とか「昨日のテレビみた?」とか

休み時間になるとワラワラとよってくる男連中から逃げるように屋上へ向かう

屋上から見上げた空はいつもより近くて

届きそうな雲に手を伸ばしていると入り口から友人の声が聞こえた





『こんなとこに逃げてたか〜モッテモテだねぇ』

『モッテモテって・・・嬉しくないし』

『最近急に綺麗になったって有名だよアンタ』

『綺麗にねぇ・・・』





そんなことを言われても嬉しくないんだってば

他の男子になんか興味がない

だって先生のことで頭が・・胸がいっぱいだから





『もうすぐ卒業シーズンだから告白たくさんされるかもね〜〜』





面白がる友人はそんなことを言いながらヒラヒラと手を振り去っていった

そして

その友人が言ったとおりその日から告白の嵐が続くことになった







一緒にいてくれませんか?







『好きです!付き合ってください!』

『・・・・ごめんなさい』





このやりとり今日で何回目だろうか

なんだか精神的にも肉体的にも参ってきた

それでも家では先生がいるから元気で過ごしている

だってなんだか知られたくない

こんなに毎日のように告白されてるなんて

「綺麗になった」

そう言われるのは嫌ではない

でも確実にそれは先生のおかげで

先生を愛し先生に愛してもらえてるからで

でもそれを公言できないのが口惜しい

卒業シーズンとはいえ卒業するのはもちろん3年だけで

自分の卒業までは後1年ある

ため息ながらに教室へと戻ると昼休み終了間近の校内に放送が響いた









『全校生徒に告ぐ、今から緊急集会をするので体育館へと集まること以上だ。』







それだけ言ってブチリと放送は切れた

ざわめく教室の中で首をかしげる

今のは確実に先生の声だ

ノロノロの向かうクラスメートに続いて体育館に足をむけた

体育館へと付くとそこには全校生徒だけではなく教員まで集まっていて

みんな何が始まるのかわからずざわついていた

教員たちも何で集められたのか分かっていないようで

問い詰めてくる生徒たちにらうろたえている

そして注目の中体育館の舞台の上に上がったのは校長で

なぜだか引きつった笑いを浮かべていた





『えー・・・皆さんに集まってもらったのは急遽辞任することになった先生から挨拶がしたいと申し出があったからです』





そう言って紹介されたのはロロノア先生だった

傍から見ればたぶん相当な間抜け面だろう顔で壇上の先生を見つめる

辞任?!何それ・・・聞いてない・・・・

先生が決めたことだから文句はない

文句はないが一緒に住んでるんだから相談してくれたっていいと思う

相談じゃなくても先に話してくれてもいいんじゃない?

なんだか悲しくなって俯いた





『校長先生がおっしゃったように今日付けで辞任することになりました』





凛とした声が体育館に響く

視界に入った上履きが滲んでみえる





『だからもう私は・・・俺はもうてめぇらの先生じゃねぇし、てめぇらは俺の生徒でもねぇ』





急に口調が変わった先生に体育館は少しざわめいていた





『   』





急に名前を呼ばれて弾かれたように顔をあげると壇上の先生と目が合った

皆の視線がむけられているがそんなの気にならなかった

だって先生がすっごく優しい顔で笑ってるから







『俺は教師を辞めて実家を継ぐ、もう先生じゃなくなるけどそれでもいいか?』

『ふぇ?』



間抜けな声がでた

だって「いいか?」って何?しかもなんでこんな皆の前で?





『   』





もう一度名前を呼ばれる

混乱しきった頭にまっすぐに届いた声はやわらかく暖かかった

























『結婚しよう』







突然の言葉に固まってしまった

今なんて言った?

けっこん?結婚しようって言った??

隣にいた友人に肩を揺らされる



『ちょっと〜〜いつの間に〜〜』



バシバシ肩を叩かれ今のが現実だと実感した

先生は少し笑うと手を差し伸べた





『おい、返事は?』





滲む視界の中先生の元まで走る

周りなんかもう見えなかった

見えるのは手を伸ばす先生だけで

舞台の下で息を整え先生を見上げた

屈んだ先生は手を伸ばす





『返事は?』





マイクからではなく先生の声が耳に直接届きまた涙が零れた





『け・・結婚・・・するぅぅ』





泣きながら手を伸ばすと先生の手を握った





『うしっ』





ニカッと笑った先生はそのままグイっと手を引き寄せる

気が付くと舞台の上にいて先生に抱きしめられていた





『愛してる』

『うん・・・愛してる・・・』





キュッと先生に抱きつくと先生は後ろにあったマイクを握り締めた

ざわざわとしている体育館

「おめでとー」とうい祝福の声と混ざって男子の恨めしそうな声が聞こえる

あ。そういえば皆の前だった

今更恥ずかしくなり離れようとしたがしっかりホールドされ動けなかった

頭の上で先生の声が響く





『っつーことでこいつは俺のだから手出した野郎はぶっ殺す』





殺気だった先生の一言で体育館は静まり返った















「補習」から始まった2人の関係は

先生と生徒じゃなくなっても永遠に続くのでした







END
















苺くっきーさんからいただきました二周年祝い!
一万打・二万打のときにもいただいた
先生×生徒カップルの続きです!


つか、このふたりが

結 っっっっ 婚 !!!

うあぁぁなんて幸せな結末ですか!!


しかも、ゾロにすっごい愛されてるよ、この子!
うらやましぃいぃぃぃぃぃぃ!!!

もうわたし、自分のことのように感動してしまいました。
むしろ自分変換で読んでいました(笑)
だって、苺ちゃんが、そういうふうにも見えるように書いてくれているんだものv(笑)

苺ちゃんv素敵なお話、ほんとにありがとうございましたーv

一応、最終章(?)と苺ちゃんがおっしゃっていたのだけれど
らぶらぶ新婚編もあると信じてる・・・!(オマヘ)